バイオ燃料

昨今、バイオ燃料が注目されてきている。2030年頃には石油が枯渇することは何年も前から叫ばれてきた。しかし、今年の夏の原油高によりオイルショック以来のガソリン値上がりにより、日本でもやっと重い腰を上げるようになった。その代替策のひとつとして、バイオ燃料にスポットライトが当てられている。

 

■なぜバイオ燃料が注目されはじめたか。
近年の原油高が、ガソリンや灯油などの価格上昇、間接的には食品等の値上がりとして現れはじめ、企業や家庭に大きな負担となりつつあるからである。
また、中国やインド等のアジア各国が経済成長や中東の緊張状態により、今後原油価格の安定すら見込めず、高値での推移が予想されるからでもある。

 

■世界的な市場動向
米国クリーン・エッジ社の報告書『クリーン・エネルギーのトレンド2006』によると、エタノールとバイオディーゼルを合わせたバイオ燃料の昨年の市場規模は157億ドル(約1兆8000億円)に達しており、米国とブラジルが2大生産国となっている。スタンド整備等の流通課題を抱えているにもかかわらず、バイオ燃料の市場は2015年には525億ドル(約6兆円)に達する予想している。

 

■日本の状況
日本では、まだ実用段階には入っておらず、北海道十勝地方のJA等がバイオエタノールを事業化する可能性を探っている段階のようである。

 

■日本の自動車メーカーの動向
一方、その燃料を使用する自動車側の対応だが、産経新聞によると、ホンダとトヨタ自動車は、100%のエタノール燃料でもガソリンとエタノールの混合燃料でも走行可能な「フレキシブル・フューエル・ビークル(FFV)」を開発し、ホンダは年内に、トヨタは来春にそれぞれブラジル市場で発売予定と発表している。
日本は燃料供給用のインフラが整備されていないことから、日本市場への投入はまだ先となるようだ。
自動車メーカーやバイオ燃料メーカー、政府、消費者が協力しあって、普及を実現させたいものである。

 

■バイオ燃料の問題点
バイオ燃料は、廃油(菜種油)等から精製する方法もあるがその割合は少なく、大半はとうもろこしやサトウキビといった人間や家畜が食べる食物から精製する方法が一般的である。ここにバイオ燃料の問題点がある。
今後、世界人口の増大が懸念されるなか、食料不足が懸念されている。そのとき苦しむのは発展途上国の貧しい人々である。また、酪農用飼料の高騰により酪農家はもちろん、我々一般消費者にも値上げというかたちで負担が増える。
一部先進国が使うエネルギーのために、食べ物を燃料化することに違和感を感じるのも事実である。

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