映画『ウォンテッド』で《はたらく》を考える
2008.9.17映画
映画ウォンテッド(WANTED)の主人公は、どこにでもいそうなイケてないサラリーマン。恐ろしい女性上司のイジメのターゲットであり、親友には彼女を寝取られ、顧客のクレームを引き受ける「顧客管理担当」だ。彼の口癖は、「ごめんなさい」(I’m sorry!)。何となく憎めない奴でもある。
そんな彼が自己のポテンシャルに気付き、殺し屋に変貌していく。このあたりの設定はフィクションそのものだが、自分がチャレンジしたいと思えた仕事や役割を見付けた幸せな男だと思えば、少し現実に近付いてくる。
過酷なトレーニングの中でいつも言われているのは、「自己をコントロールしろ」。我々も小学校1年生デビューのときに言われたいたような気がする「自分のことは、自分でできるように」。未だにできていない。いや、あなたもきっとそうだ。何故なら、自分のコントロールほど難しいことは、ない。人のことは多角度から分析できても、自分を多面的に見ることは非常に難しい。本人だからだ。かといって、どこかの首相のように「自分を冷静に見れる」と逆ギレして、自分を遠くに置いてしまうのも、なんだか、ふて腐れた感が漂う。
常に自分と戦い、そして克つことは、難しいが達成感は非常に高い。人知れず勝利の美酒に酔うこともできなくない。話を映画のストーリーに戻そう。
そして、初めは、やれと言われていた仕事が、やりたい仕事に変わり、彼のポテンシャルは目を覚まし、急激に集中力が高まっていく。これは正に『フロー理論』でいうところの「活動に没入する」ための手立ての一つであろう。
あなたの力をできるだけ引き出す為の「フローの構成要素」を紹介しておこう。うまく使えれば、お役に立つ考え方かも知れない。
フローの構成要素
- 明確な目的(予想と法則が認識できる)
- 専念と集中、注意力の限定された分野への高度な集中。
(活動に従事する人が、それに深く集中し探求する機会を持つ) - 自己に対する意識の感覚の低下、活動と意識の融合。
- 時間感覚のゆがみ – 時間への我々の主体的な経験の変更
- 直接的で即座な反応(活動の過程における成功と失敗が明確で、行動が必要に応じて調節される)
- 能力の水準と難易度とのバランス(活動が易しすぎず、難しすぎない)
- 状況や活動を自分で制御している感覚。
- 活動に本質的な価値がある、だから活動が苦にならない。