311 がんばろう、日本。

 大震災から10日が過ぎた。驚きの体感、衝撃的な映像で現実を付きつけられたあのときから、余震を案じ復旧を見守る時間が続き始めた、何かしたい気持ちや活動も動き出している。
 被災地では、何が足りないのか。数日前、朝の番組のコメンテーターの幾つかの言葉の中から、ショクリョウ、イリョウ、ネンリョウ、韻を踏むように飛び込んできた。足りないものは、最低限必要なもの、正に命を繋ぐことだった。食料は、生命維持に欠かせない。医療は、一人の命だけでなく感染・伝染を防ぐ意味でも地域社会を支える。燃料は、食料や体を温めるといった一次的な利用から、移動の手段を助けることにもなる。
 これから復旧と並行して「復興」しないといけない。そのためには経済を止めてはいけないし、働く人が必ず力になれることでもある。そして復興する上で叫ばれ始めているのは、震災であらわになった反省点や長年の懸念事項を課題として復興の際に、そして長期的に考え、議論し、行動に向けていきたい点が幾つか見えてきたこと。社会インフラ再構築という観点で、忘れていたものを取り返すという観点で、ここに寄稿したい。
 復旧についても幾つかの問題点があるが、命懸けで対処している自衛官、警察官、消防士、自治体職員、ボランティアその他の皆さんの活躍に敬意を表し、ここでは書かないことにして、あくまでも未来に向けた自己反省文、提言として、ここに記す。
■食料
 今回に限らず、生産地が被害に合ったときに、頼り切っていた現実に気付く。本震災のような広範囲な場合は特別なのかも知れないが、農業、漁業、林業と多くの産業が被害を受けている。土壌汚染対策含め、本格的復興には時間が掛かるかも知れないが、TPP対応可能な農業再構築を言う人があるように、東北関東地方産業再建の仕方を考えてもいいように思う。流通や廃棄など食に関わる産業を含め、地球そして未来にフィットする構想が出来ると良い。
■医療
 医師、看護士、施設、医薬品など、打撃を受け、サポートが必要な部分が見えたが、陸路が断たれたときの、空路・海路を使った支援が少し遅いように感じた。ヘリコプターによる空中投下が有効に思えた場面でも、なかなか進められずにいるように見えた。患者や物資の大量輸送の仕組みと初動がうまく出来れば、そんな風に思うこともある。被災地の医療施設で治療が行き届かずに救えなかった命は、誰しもに悔いが残る。
■燃料
 燃料について感じたのは、石油・灯油や電気などの従来エネルギーに依存する構造から、なかなか脱却出来ないことである。ガソリン不足による避難の遅れや物資供給の遅延など、悲劇的な状況であり、避難場所での食料や冷え切った体を温めることが出来ないのは見るに辛い。また、電気を作る、その作り方に問題があることが、気付いていたはずなのに、容認していた状態だったことを反省する必要もあると思っている。タービンを回す方法を原子力に頼らざるを得ないのか、この技術を利用するにしても海岸に建設することになる日本の多くの原発で採用されている方式で良いのか、発電所建築の場所、取り分け周辺住民との距離は正しいのか。福島だけなく、全ての施設を考え直す時期ではないだろうか。今までこの問題点を電力会社と政府、自治体の問題としてニュースを見過ごしていたことに反省しきりだ。これから復興においては、電力が必要になるであろうが、夏に向けてのカバーの仕方も検討の余地がありそうだし、東日本と西日本の周波数の違いによる交換、供給の難しさを惜しむことになりそうである。蓄電や海外からの臨時供給の確立などは進んでいなかったのか。エネルギーが社会インフラの重要な一部であれば、使い方や作り方を、考えさせられたこの機に、計画に向けて議論することには、反対は少ないように思う。今は、不要不急の節電、出来ることをする。
地震による被災地、津波による被災地、影響の受け方によっても、復興の仕方は違ってくると思うし、今回得られた教訓は反映しないといけない。元に戻すだけが地域復興計画ではないと思うので、日本の英知、世界の英知を利用してでも、より良くしたい。
戦争や震災から驚異的な復興を幾度と無く遂げた日本人の気質が今も生きているように感じられて、不謹慎ながら少々安堵した自分がいた。この国は未だ滅びていなかった。
 末筆となりましたが、被害を受けられた皆様、その家族に、心よりお見舞い申し上げます。
 がんばれ、東北。がんばろう、日本。
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