バタフライ・エフェクト

小学校に入る少し前に引っ越した私は、残り半年ほどの期間だったこともあったのだろう空きもなく、幼稚園に編入することも出来ずにいて、友達もなかなか出来ない状況だったので、家でひとりで遊ぶことが多かった。遊ぶといっても、おもちゃなどないし興味もなく、私の時間を埋めてくれたのは読めといわんばかりに家にあった偉人伝と未知の興味を満たしてくれる百科事典、それに空想を助けてくれるSF小説だった。
ジュール・ヴェルヌの『80日間世界一周』、フィリップ・ワイリーとエドウィン・バーマー『地球最後の日』などを読みふけった。
文字から空想するイメージの世界は自由だ。勿論自分が主人公になっていることもある。そうしてハマっていったSFへの興味は、やがて映画への興味へと発展していく。
子供の頃から観重ねていると、どうしてもタイプ別に分類することになる。そのSFパターンの一つが【ループもの】である。
代表的なものは、昔からリメイクされている『タイムマシーン』、『猿の惑星』シリーズ、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』など、時空を超える「タイムトラベル」系であるが、なかでも比較的気に入っているのが『バタフライ・エフェクト』だ。
ストーリーは控えておこう。面白いと思っているは、この理論そのものだ。
ある場所での蝶の羽ばたきが、そこから離れた場所の将来の天候に影響を及ぼすという、という考え方だが、つまりは小さな出来事がその後場所や時間を選ばず、小さくない影響へと変わっている、という考えだ。
これは、あらゆる分析に影響を与えるとも言えないだろうか。「誤差」など無いということも出来ないか。どんな小さなことが影響するか解らないと言っている。
つい、あーあのとき、こうだったら、こうしていたら…確かにタラレバは無駄だろう。
しかし過去がほんの少し違っていたらと後悔のような反省でもない、思考してしまうのは、きっと不自然ではない。
夢は、記憶と思考の脳の整理作業中にみるのだという。夢をみた、というがつまり自分の「考え」も入っていることが多いのだろう。
脳の中でどう考えるかだけは自由だ。自分でバタフライ・エフェクトを起こして、SFの世界へ飛び出すことも出来る。
しかし、現実の世界で起こすあなたの勇気ある小さな行動は、大きな何かに変わるかも知れない。

 

 

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