しんげん

「風林火山」
その文字の並び、なんとも壮大な言葉だろう。
その言葉を発した武田信玄という人の豪快さがうかがえる。
…風林火山→武田信玄→信玄餅…
でもワタシガイメージしてしまうのは、
「信玄餅」
幼少の頃、誰のお土産かは知る由もなかったが、よく家にあった。
短く平べったい楊枝のような刺しもの、チューブに入ったどろっとした黒蜜、
それらを包み込む千代紙のような和な雰囲気たっぷりの包みの姿は、
当時、私の年代では中々お目にかからないデザイン。
包装をほどいていくと、たっぷりのやさしいベージュのきな粉に覆われたお餅。
そこに、どろっとした黒蜜がかかる、というか乗っかる感じが、また楽しく。
武田信玄公が出陣の際、非常食糧として欠かせなかった切り餅にちなんで調味したのが、
この信玄餅の由来だそうだが、幼少のころに武田信玄という人のことも知らず、
しんげんもち、という名前だけが、その見た目とともに印象がそこはかに残っていた。
平べったい刺しもので、餅を一突きすると、きな粉が揺れ、刺したところに黒蜜が、
馴染んでいく。
今では大学生の息子や高校生の娘も、
「たまに口に入る中々お目にかからないデザインの美味しいもの」
として好んでいる。
今度、武田信玄と風林火山の話しを伝えてみよう。
  1. しんげん