“輪”廻転生
2019.9.6ヒト
輪廻転生という言葉を聞いた事があるでしょうか?
映画やゲーム、本の世界には稀に出てくる単語で、もしかしたら一度は耳にしたことがあるかもしれません。
輪廻転生、インド哲学や仏教などで考えられている、人間、生物が何度も生死を繰り返しながら生まれ変わるという考えです。ここで更に詳しく哲学や思想、神話の視点から輪廻転生について細かく説明すると文庫本1冊分でも足りないので割愛させていただきます。
今回のテーマが「励輪(レイワ)」ということで「輪」の部分を切り取って考えてみました。輪と連想すると私は真っ先に輪廻転生という言葉が想い浮かべました。人や生物は、一度死んだらもう終わりなのか、それともまたこの常世に帰り人間として生活していけるのだろうか。死んだら意識も無い真っ暗闇を永遠に彷徨うのではないか、という幼少の頃に妄想し怖くて眠れなくなった経験が今でも縛っているから輪廻転生なんぞ小難しい単語を即座に想い浮かべたのかもしれません。
今は恐怖感よりも、この輪廻転生という言葉には浪漫があると私は考えるようになりました。物語や歌詞でも、「来世でまた会おう」、「何度生まれ変わっても私は…」と希望と未練が一言で伝わるなんとも寂しく、粋な言葉だと感じてます。
そんな輪廻転生を物語で、本で気軽に体感、思考ができるので輪廻転生を題材にした作品を3冊、ネタバレしない程度にご紹介したいので興味があれば是非読んで頂きたいです。
・「楽園」 鈴木光司著 角川文庫
遥か昔、1万年前に引き裂かれた夫婦が、古代、近世、現代と時代を股にかけて愛とは何かを問いかける壮大なファンタジー。ホラー小説「リング」などで知られる著者だが、このような冒険色が強く荒々しい、けれど繊細な文も書けるという新たな一面を垣間見れる作品。読み終わったとき、タイトルの本当の意味がわかる。愛は時代を超えるという胸が熱くなる一冊。
・「魔界転生」 山田風太郎著 講談社文庫
剣豪好きなら夢見たであろうドリームマッチが開幕する。森宗意軒は自らが編み出した忍法、”魔界転生”により蘇った、天草四郎時貞、宮本武蔵、荒木又右衛門、田宮坊太郎、宝蔵院胤舜、柳生但馬守、柳生如雲斎、この七人の転生衆と江戸幕府転覆を狙っていた。友人でもある田宮平兵衛・関口柔心を転生衆に倒された仇討ちとして、柳生十兵衛が立ち向かう。
奇想天外な忍法、戦略による剣豪たちの戦いは手に汗握りすぎて本がふやける程でした。今読んでも新鮮で、驚くような発想が随所にみられるので怪奇ものと敬遠せず十兵衛の生き様、転生衆の悲哀を感じてほしいです。
・「百万回生きたねこ」 佐野洋子著 講談社
大人になって読んで初めて良さがわかる絵本だと想う。1匹の猫が輪廻転生を繰り返し、様々な世界、人と触れ合っていく作品。気が遠くなるくらいの回数を死んでるねこ。どこかコミカルで、読む人によっては笑い話となる絵本だろう。
しかし、私は大人になり、この絵本を読み号泣。主人公のねこは輪廻転生を繰り返すうちに、とあるメスのねこと出会い恋をする。恋が実り、子宝にも恵まれ、幸せな生活を送っていたが…。
続きは読んでみてください。主人公のねこの気持ちが強烈なまでに私の心に衝突し、自分でも意味のわからないくらい泣いたのを覚えている。読む人によってだいぶ感想が変わるのが絵本の良さです。一度、童心に帰って絵本を読んでみませんか。